インプラントの平均寿命は?長持ちさせるお手入れのコツ

歯科お役立ちコラム

2016.11.13

<2017.3.31更新>
自分の歯と同様の噛む力が手に入るインプラントですが、残念ながら一生持つものではありません。
しかし、普段のお手入れや管理次第で、その寿命を平均以上に延ばすことができるかもしれません。

今回は、インプラントの寿命を延ばすコツを詳しくまとめてみました。
現在インプラントを入れている方、これから入れる予定の方も、是非参考にして頂ければと思います。

インプラントってどのくらい長持ちするの?

一生ものとは限らない
インプラント治療を行って、埋め込まれたインプラント本体の寿命は、平均で約10年~15年といわれています。
しかし、この数字はあくまで平均であり、メンテナンスを怠った場合や、事故や何らかのトラブルが発生した場合には、1年や2年程度で撤去しなければいけないこともあります。
反対に、適切な管理をし、顎骨や歯茎が正常に保たれていれば、それだけインプラント本体の寿命ものび、平均以上の期間で使い続けることが可能ともいわれています。

インプラントの寿命を縮めてしまうのはどんなケース?

インプラントの寿命が平均より短くなってしまうのは、どういったことが原因で起こりうるのでしょうか。

1. メンテナンスを怠るとさまざまな弊害が起こる

インプラントを使い始めたあとも、歯磨きや歯間ブラシなどを使ったメンテナンスを怠ってはいけません。これはお口の状態を健康に保つことが、インプラントの寿命を長く保つことにもつながるからです。
お口のメンテナンスを怠ったままでいると、プラークや歯石が沈着したままの状態が続き、歯周病を発症します。これを「インプラント周囲炎」といいます。

2. インプラント周囲炎から脱落につながる

インプラント周囲炎に罹ってしまうと、自然治癒することはありません。歯周病と同様に歯肉から出血し始め、周囲の組織を破壊します。そしてインプラントがぐらつき始め、最悪の場合には脱落してしまうこともあります。その場合は再度インプラント手術が必要になることもあるのです。

3. インプラント自体の破損

歯の噛み合わせが合わなくなったことに気付かず、そのままの状態で使用していると、噛むときの圧力が一部に掛かりすぎてしまいます。そうするとインプラント本体や、人工歯部分が破損してしまう場合もあるのです。

4. 定期検診を欠かしてしまうと異変に気づかない

このような問題が起こっても、初期の段階では自覚症状が無いことが多いため、気づいたときには状態がかなり悪くなっていることがほとんどです。
最悪の場合、撤去せざるを得ないだけでなく、再手術も不可能になってしまうケースがあります。
対処可能な初期段階で気づいて対処するためにも、歯科医院でインプラントの定期検診を受けることをおすすめします。

もしインプラントに寿命がきたらどうなるの?

「インプラントの寿命」とは、インプラントのぐらつきや、噛むときの痛みが生じるなど、噛む機能が果たせず、インプラントを撤去しなければいけなくなった状況を指します。
事故によりインプラント本体が破折して撤去する場合もあれば、十分な管理をしていても撤去しなければならないケースも存在します。

顎骨の回復の見込みがあれば、しばらく期間をおいてからインプラントの再手術をすることもありますが、難しい場合は、インプラントではなく、ブリッジや入れ歯を選ばなければなりません。

インプラントの寿命を延ばす6つのコツをご紹介

インプラントの寿命は、管理方法によって大きく変わります。現在の私生活と照らし合わせながら、改善すべき点があればチェックし、インプラントの寿命をのばす工夫をしましょう。

1.毎日の歯磨きは欠かさずに!

親子で歯磨きをするイラスト
インプラントは、通常の被せ物と同じように、根元に汚れがたまりやすい傾向にあります。
そのため、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシの使用も必須となりますが、どちらも扱い方には十分注意しなければなりません。

1.1インプラントを磨くときは、やわらかめの歯ブラシで

天然歯同様、インプラントでも、歯を磨く摩擦によって表面に傷ができてしまいます。
硬めの歯ブラシの使用は厳禁であり、天然歯に使用する歯ブラシよりも、更にやわらかめの毛先の物を使って磨く必要があります。
インプラント部分だけ歯ブラシを使い分ける手間を省きたい方は、ふつうの硬さの歯ブラシで、力を入れすぎないよう注意して磨いてください。

2.歯間ブラシは適切なサイズを選ぼう

自分に合った歯間ブラシを使おう
歯間ブラシのサイズは、口の中の状況によって異なり、歯と歯の隙間の大きさに合うものを選ぶ必要があります。
大きすぎると、歯や歯茎を傷つけてしまいますが、小さすぎると汚れがうまく取れません。
不安な方は、歯科医師または歯科衛生士に相談し、適切なサイズを選んでもらいましょう。

2.1歯間ブラシは、挿入角度に注意する

歯間ブラシの挿入角度は、汚れをしっかり取るためだけでなく、歯茎を傷つけないために気をつける必要があります。
歯間ブラシの先端が歯茎に向いていないかを確認し、ゆっくり入れるようにしましょう。
反対側に先端が見えた段階で入れるのを止め、そのままインプラントの側面に数回こすり付けます。これを両側おこないます。

3.歯磨き粉は、研磨剤不使用のものを選ぼう

研磨剤不使用
市販で売られている歯磨き粉の多くに、研磨剤という成分が含まれています。
研磨剤は、汚れや着色を落としやすくするための成分ですが、同時に歯や歯茎の表面に傷をつけてしまうことがあります。
インプラント表面の傷には、汚れがたまりやすくなる恐れがあるので、研磨剤が入っていない物を選ぶようにしましょう。

4.歯ぎしりの癖を直そう

歯軋りをする女性のイラスト
歯ぎしりの原因は、ストレスや噛み合わせなど様々です。
インプラントに過度な負担がかかってしまうため、避けなければいけません。
しかし、歯ぎしりの多くは、寝ている間に無意識に起こります。
頻繁に歯ぎしりをしてしまうという方は、歯科医に相談の上、マウスピースの使用をおすすめ致します。

5.歯科で定期的なメンテナンスを受けよう

トラブルを未然に防ぐため、インプラント治療後は、定期的なメンテナンスが必須です。
レントゲン撮影による顎骨のチェックや、クリーニング、噛み合わせの調節、必要であれば歯磨き指導をおこないます。

6.禁煙や減煙を心がけよう

喫煙をする歯のイメージイラスト
歯や歯茎に悪影響を及ぼす喫煙は、当然インプラントの寿命にも影響します。
喫煙をすると、歯茎の血行が悪くなり、免疫力が低下することで歯茎が腫れやすくなります。インプラント周囲炎や歯周病のリスクが高くなり、喫煙をしない方に比べ、インプラントの寿命も短くなります。
できればインプラント治療と同時に、禁煙することをおすすめ致します。

もしもインプラントの寿命がきたら、再手術で気をつけるポイント

万が一、インプラントの脱落や破損など、やむを得ず再手術を受けることになってしまった場合、次はもっとインプラントを長持ちさせたいと考えることでしょう。
そんなときに気をつけるべきポイントをご紹介いたします。

1. 同じ歯科医院で再手術を受けるべきか考えよう

何らかの原因によってインプラントにトラブルが発生し撤去しなければならなくなった場合、その原因によっては転院を考えた方がよい場合があります。
まずは手術した歯科医院で、インプラントを撤去しなければならなくなった原因や経緯を尋ねて、納得がいくまで説明を受けることです。
そこで誠意が感じられない場合や、充分な説明が受けられない場合には転院を検討することも考えましょう。

2. 補償内容を確認しよう

インプラント治療には、医院やインプラントメーカーの保証期間があり、期間内であれば再手術に関する費用が無料、もしくは安価で受けられる場合もあります。
保障期間はメーカーによって違いもありますので、できれば最初の手術を受ける前に補償内容まできちんと把握しておきたいところです。

3. 最初に手術を受けたインプラントの値段が安かった場合は……

インプラントは保険外診療であるため、高額なイメージが強いでしょう。だからといって「格安インプラント」などと謳い、安さだけを売りにした歯科医院で手術を受けると、まれにトラブルになることもあります。
インプラントの値段を安く抑えるためには、安い材料を使ったり、麻酔やレントゲンを精密におこなわなかったりというケースが考えられます。また、保証期間が短いメーカーのインプラントも要注意です。
このように、極端に安いインプラントによってトラブルが起きている可能性があるのであれば、転院も検討したほうが良いかもしれません。

4. 再手術では、担当医の技術も確認しよう

前回のインプラントが失敗したことにより再手術となってしまったのであれば、同じ担当医に再びお願いするかどうか、考え直してみてください。
インプラント治療は、歯科医師であれば誰でも行えます。しかしインプラントは、一般歯科の知識だけでなく専門的な知識が要求される高度な治療です。インプラントを行う歯科医院が増えているとはいえ、すべての歯科医師がインプラントの知識に精通しているとは限りません。
歯科のホームページに載っている医師のプロフィールを見て、担当歯科医の経歴や所属学会、「認定医」の称号や講習会への参加歴を確認してみましょう。その歯科医がどのくらいインプラントに力を入れているか推測することができます。

5. インプラント上部の人工歯の素材を確認しよう

例えば安いインプラントでは、人工歯作製で安い素材を使用することでコストを抑えていることも考えられます。
上部の被せ物に使用されている素材は、インプラントの耐久性にも関連しています。噛むときなどに圧力がかかった場合、周辺組織へ刺激が及ぶこともあり、破損につながる可能性もあります。
事前にどんな素材で作るのか、耐久性はどうなっているのかなど、説明をしっかり聞いておきたいものです。

まとめ

インプラントの寿命は、日々のお手入れや定期的に検診を受けるなど、管理方法によって差がうまれます。
けして安くはない費用を払い、手術をしてまで得たインプラントです。1日でも長く持たせるためにも、まずは普段のお手入れ方法から改善してみてはいかがでしょうか。
また、トラブルの放置は、インプラントをおこなった部位だけでなく、周りの組織にも悪影響を及ぼす危険性があります。定期的に歯科医院でのチェックをおこないましょう。


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