骨が少なくてもインプラントが可能になる骨造成手術の費用と手順

歯科お役立ちコラム

2016.09.27

十分な顎骨の面積が必要不可欠であるインプラント治療。
歯周病などによる顎骨の減少が原因で、インプラントを諦めてしまったという方は、少なくないと思います。
今回は、顎骨の面積を増やす骨造成手術について、詳しくまとめてみました。是非参考にして頂ければと思います。

骨造成手術とは?

インプラント手術には骨の厚みが必要です
骨造成手術とは、何らかの原因で失われた顎骨を再生させる方法です。
通常、骨造成手術を受ける際には、口腔外科での処置が必要となりますが、今現在では、歯科医院でも専門的な知識、高い技術を持って骨造成手術を行っている所も存在します。
骨造成手術をし、その後インプラント治療を行うという一連の流れを、一箇所の歯科医院で行うことで、事前の治療計画が立てやすくなり、時間の短縮、情報の伝達ミス等のトラブル防止にも繋がります。

1.1 インプラント治療前に、骨造成手術が必要な理由

インプラント治療は、インプラント本体を歯が無い部分の顎骨に埋め込み、それを軸にして人工歯を被せ、噛む機能を再び取り戻す方法です。
インプラント本体を埋め込むには、最低10mmの厚みが必要とされており、歯周病などによって顎骨が減った状態では、他の組織を傷つける恐れがあるので大変危険とされています。

骨造成手術の種類

歯科治療における骨造成手術には、サイナスリフト、ソケットリフト、GBR法の3つがあり、顎骨が減少しやすく、インプラント治療が難しいとされる上顎の奥歯の処置には、サイナスリフト、ソケットリフトが適用される事がほとんどです。
これらの特徴や手順、必要な費用についてみていきましょう。

骨造成手術① サイナスリフト

顎骨が5mm以下ならサイナスリフト
サイナスリフトとは、上顎の奥歯の顎骨の高さが約5mm以下、または多数の歯が欠損している場合に適応される骨造成手術です。
上顎の奥歯付近は、上顎洞という鼻の側方から広がる大きな穴が存在し、インプラント治療や抜歯等が原因で上顎洞に通じる穴が開いてしまうと、副鼻腔炎(蓄膿症)の原因となります。
サイナスリフトでは、上顎洞と顎骨の厚みを出す為に、上顎洞への骨移植を行います。

2.1 サイナスリフトの手順

麻酔をした後、歯茎を切開します。顎骨に付着している上顎洞粘膜を慎重に剥がしてゆき、顎骨と上顎洞粘膜の間に出来た隙間へ移植骨を埋めます。
インプラント治療に必要な10mm以上の厚みを確保できた段階で、歯茎を縫合します。そして、レントゲン撮影を行い、十分な厚みがあるかを確認します。
移植骨が顎骨へとなるまでには約6ヶ月必要とされており、その間は特別な処置は行いません。

2.2 サイナスリフトの費用

骨造成手術は、保険適用でない場合がほとんどであり、歯科医院によって費用に差がうまれます。サイナスリフトの相場は、1箇所あたり約15万円~30万円です。

骨造成手術② ソケットリフト

顎骨が5mm以上ならソケットリフト
ソケットリフトとは、上顎の奥歯の顎骨の高さが約5mm以上ある場合にのみ適応される骨造成手術です。
歯が生えていた部分の側面の歯茎から行うサイナスリフトとは違い、ソケットリフトの場合は、歯の生えていた部分(抜歯直後の場合は、その穴から)行います。
そのため外科的負担が小さく、短時間で処置ができて、腫れや痛みがほとんどありません。
また、顎骨への移植とインプラント治療を平行して行えるというメリットも存在します。

3.1 ソケットリフトの手順

麻酔を行った後、顎骨に専用のドリルを使って穴を開けます。
上顎洞粘膜を傷つけないよう1mmの厚みを残した状態で止め、そこから器具で上顎洞粘膜へ繋がる道を作ります。
出来た穴から移植骨をいれ、インプラントを行う場合は、インプラント本体もこのタイミングで埋め込みます。
インプラント本体のみを入れた状態で3ヶ月以上待ち、顎骨とインプラント本体の接着を確認後、人工歯を被せ完成となります。

3.2 ソケットリフトの費用

ソケットリフトのみを行う場合の相場は、1箇所あたり約3万円~10万円です。インプラントを同時に行う場合は、インプラント代が別途必要となります。

骨造成手術③ GBR法

GBR法とは、顎骨が不足している部分に、自家骨または人工骨を盛り、メンブレンという特殊な膜で覆って、骨を再生させていく治療法です。
再生までに約4ヶ月~6ヶ月かかり、顎骨の減少が大きい場合は、インプラント治療を平行して行う事はできません。
GBR法の相場は、1歯につき約3万円~15万円です。

骨造成手術の注意点

術後は刺激を避けましょう
骨造成手術は外科処置である事から、個人で行うお手入れや、部位への刺激等には十分な注意が必要となります。

4.1 手術当日~3日間は、頻繁なうがいを避ける

出血によって出来る血餅(血のかたまり)は、外部からの刺激や細菌から傷口を保護する働きがあり、傷の直りを早くします。
血餅が形成されるためには、少しの時間血液がその部分に留まることが必要であり、頻繁なうがいはそれを妨害してしまいます。

4.2 手術当日~抜糸までの間は、歯ブラシの毛先は当てないようにする

処置した部位への歯磨きは、血餅が剥がれる原因となるため、良くないといわれています。
傷口が露出してしまうと、細菌感染が起こりやすくなりますので、抜糸を行うまでは、他の歯を丁寧に磨くことで、口腔内を清潔に保ちましょう。

4.3 指や舌で触れないようにする

歯ブラシ同様、指や舌で触れるのも、血餅が剥がれて細菌感染が起こる原因となるため、良くありません。
麻酔が切れると、ジンジンとした痛みが起こる場合がありますが、気になっても触れないよう気をつけましょう。


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