歯茎から膿が出た!5つの原因と歯科での治療方法について

歯科お役立ちコラム

2016.12.21

歯茎のトラブルの中には、腫れや出血のほかに、膿がでる排膿というものがあります。
排膿が起こると、口臭の原因になるだけでなく、歯茎の奥の顎骨で重度のトラブルが起きている恐れもあるため、放置するのは危険です。
今回は、歯茎から膿が出る排膿の原因と、その治療方法についてまとめました。心当たりのある方は、できるだけ早めに歯科医院で診てもらいましょう。

歯茎から膿が出る原因はこの5つである可能性大!

膿が出たら要注意

1.歯周病による歯周ポケットの中で細菌が炎症している

健康な人であっても、歯と歯茎の境目には溝が存在し、正常な深さは1mm~2mmといわれています。その溝が3mm以上になると「歯周ポケット」と呼ばれるようになります。
歯周ポケット内に存在する細菌が繁殖して腫れや出血を引き起こし、それを放置し続けると、排膿が起こるようになります。

1-1.歯科医院での治療方法【切開、歯茎内部の清掃】

排膿が起こるほどの歯周病はすでに重度になっている場合が多いです。
治すためには、歯茎を切開して膿を出す治療や、SRP(スケーリング&ルートプレーニング)という、歯周ポケット内に入り込んだ歯石や感染組織を除去する治療を行います。

1-2.歯周病による炎症を放置するとどうなる?

歯周病は、放置していても決して治ることはありません。細菌によって歯周ポケットは更に深さを増し、歯を支える骨を徐々に溶かしていきます。
一般的には、歯がぐらつき抜けてしまう病気を「歯槽膿漏」といいますが、その症状は末期の歯周病であることを指し、治療をせずに放置することで起こります。歯周病は1本の歯のみに限定されて起こるものではなく、複数の歯を同時に失うリスクがとても高い病気です。

2.親知らずと歯茎の間で細菌が炎症している

親知らずの汚れが炎症に
智歯周囲炎という、親知らずのトラブルがあります。智歯周囲炎は、親知らずと歯茎の間に汚れが入り込み、中で炎症が起こって痛みを発生させます。親知らずが横向きや斜め向きになり、頭が完全に歯茎から出ていなかったり、歯茎が中途半端に被っていたりする場合に起こりやすく、放置しておくことで排膿が起こり、痛みも悪化してしまいます。

2-1.歯科医院での治療法【抗生物質の服用、抜歯】

基本的には、抗生物質の服用のみで症状は治まりますが、頻繁に繰り返すのであれば親知らずの抜歯をおすすめいたします。
特に、女性の場合、妊娠中はつわりによるお手入れ不足が原因で智歯周囲炎を起こしやすくなります。妊娠中には麻酔は勿論のこと、薬の処方にも制限が発生するので、早めに対策をするのがおすすめです。

2-2.親知らずが膿を起こしているのに放置するとどうなる?

智歯周囲炎を放置すると、排膿によって口臭が強くなるほか、口腔内全体が不衛生となり、他の歯の虫歯や歯周病の発生にも繋がります。また、痛みが生じることで食べ物を逆側の歯で噛むようになるので、噛合せのバランスが崩れ、歯並びの変化や顎関節症の原因になる恐れもあります。

3.根尖病変によって歯の根の先に膿ができる

根の先に膿ができる根突病変
神経を失った歯に起こりやすいトラブルの一つに、歯の根っこの先に膿がたまる根尖病変があります。発生した膿は、顎骨内で徐々に大きくなり、歯茎を突き破って排膿することもあれば、排膿が起こらない場合もあります。
排膿が起これば、顎骨内の圧が減り、違和感程度でとどまるケースがほとんどですが、排膿が起こらない場合は、膿の出口が存在しないことにより顎骨内で強い圧がかかるため、突然立っていられないほどの激痛に襲われる危険性があります。

3-1.歯科医院での治療法【根管治療の再治療、抜歯】

根尖病変を治すには、根管治療をおこない、内部に存在する細菌を除去する必要があります。しかし、根管治療の再治療の場合は、一度削った歯の内部をさらに削らなくてはならないため、歯が割れてしまう危険性が高くなります。根管治療に定評のある歯科で、精密な治療を心がけましょう。
放置してしまうと、膿がさらに拡大し、原因である歯のみならず周囲の歯も抜歯する羽目になります。根尖病変は決して自然治癒するものではないので、排膿の有無に関わらず、できるだけ早く歯科医院で処置を受けるようにしましょう。

3-2.根尖病変を放置するとどうなる?

根尖病変によってできた膿は、歯を支える骨が溶かされてできたものです。原因となる細菌を除去しないかぎり治ることはなく、放置すればどんどん膿も大きくなります。そして骨の量も減っていきます。
また、上顎の根尖病変は、副鼻腔炎を発症させる原因にもなります。

4.歯が割れて隙間に細菌がたまる

神経のない歯は割れやすい
神経を失った歯は、神経がある歯に比べたいへん脆く、割れやすくなります。神経があれば、割れた痛みによって早めの対処が可能となりますが、痛みを感じずにそのまま放置してしまうと、その隙間に細菌が入り込んで増殖し、炎症や排膿の原因にもなります。
歯の破折は、歯周病や根尖病変の原因にもなるため、注意が必要です。不自然に歯がぐらつく、噛むと痛いと感じるなどの症状は、破折の可能性が考えられます。また、強い力で食いしばる歯ぎしりや激しいスポーツなどをすると、破折が起こりやすくなります。

4-1.歯科医院での治療法【抜歯】

破折が起こっている場合は、細菌が入り込む隙間をなくすため、破折した片方、あるいは歯そのものを抜歯する必要があります。歯を半分残した状態で、隣接する歯とブリッジでつなぐこともあります。
破折部位によって治療法は変わりますので、事前に確認をしましょう。

4-2.歯が割れているのに放置するとどうなる?

歯の破折を放置すると、破折した隙間から細菌が入り込み、根尖病変を引き起こす恐れがあります。また、上顎に破折した歯がある場合は、上顎洞炎の発症原因となり、歯だけでなく頭痛など別のトラブルに繋がる危険性があります。

5.抜歯したはずの歯の根が残っている

抜歯したはずの歯
歯の根っこが曲がっていたり、複雑な形をしていたりすると、抜歯の際に顎骨内で割れてしまい、そのまま残ってしまうことがあります。自然に外へ出てくることもありますが、中で細菌による炎症が起こり、腫れや排膿の原因になる恐れもあります。

5-1.歯科医院での治療法【経過観察、残った部分の除去】

まずはレントゲン撮影によって、顎骨内の状況を調べます。破片した歯や根っこの先などが残っていても、自然にでてくることがあるため、経過観察で様子をみる場合もあります。しかし、それが原因で歯茎の腫れや排膿が起こっているようであれば、麻酔をして取り除かなくてはいけません。

5-2.残った歯の根を放置するとどうなる?

炎症などの異変がない場合は放置しても問題はありません。しかし、炎症している場合は根尖病変に繋がりかねないので、歯科医院で残った歯を取る必要があります。

まとめ

歯茎からの排膿は、軽い症状とは限らず、重度のトラブルが起こっているサインである可能性もあります。
たぶん大丈夫だろうと放置してしまうと、それだけ歯を失う可能性が高くなってしまいます。くれぐれも自己判断で対処はせず、できるだけ早めに歯科医院で診てもらうようにしましょう。


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