精密根管治療においてマイクロスコープを使う重要性と費用について

歯科お役立ちコラム

2016.07.25

<2017.3.31更新>
今や多くの歯科医院で導入されているマイクロスコープ。目視で行う治療と比べ、精密に治療を進める事ができます。処置後のトラブル防止にも役立つことから、歯の神経の処置である根管治療では特に欠かせない道具となりつつあります。

今回は、根管治療を行う上でマイクロスコープがどのように役立つか、その重要性と費用も含め細かくまとめてみました。是非参考にして頂ければと思います。

マイクロスコープとは?

マイクロスコープを使った根幹治療

歯科用実体顕微鏡であるマイクロスコープは、目視では見えないような歯の内部を見ることができ、細かなヒビなどを発見できます。見えにくい口の中を処置する歯科治療であるからこそ、無くてはならない道具であるといっても過言ではありません。

特に根管治療では、治療を行った後の再発や根尖病変(歯の根っこの先に膿が溜まる病気)のリスクを大きく軽減できるという結果が数多く証明されています。このことから、根管治療の難しさを再確認し、目視では限界があるという現実を実感した歯科医師は少なくないでしょう。それ程マイクロスコープを使って行った治療と、目視での治療とでは違いが生まれ、患者からの信頼度にも大きな変化がみられます。

どうして目視では限界があるのか“根管治療の難しさ”

歯イラスト
歯の神経の処置である根管治療は、その処置を受ける患者は「ずっと同じ治療を続けている」と不満に感じる方もきっと多い事でしょう。しかし、根管治療に時間がかかる理由は“根管治療の難しさ”にあります。

術者である歯科医師は、ほとんど見えない場所を指先の感覚を頼りに小さな機械を使って細かく作業を行うため、時間と、術者と患者両方の忍耐力がどうしても必要となるのです。精密に行わなければいけないワケとは一体何なのでしょうか?

2.1 歯の神経は無数に存在する

歯の神経は、その歯の形や存在する部位によって違い、基本的には1~4本です。しかしながら、1~4本という数字は数えられる範囲での本数でしかなく、実際はその元となる神経から無数の細かい神経が枝のように伸びています。その為、1回の治療で神経を取る治療をしたとしても、痛みを感じたり、症状が治まらなかったりなどのトラブルは起こりやすく、専用の薬液を使用しながら精密に何度も治療を繰り返す必要があります。

2.2 神経は真っ直ぐではない

また、歯の神経は歯の根っこの先に通じている為、機械を使ってそこまでの道を探さなくてはいけません。神経が真っ直ぐであればそれ程時間はかかりませんが、ほとんどの場合曲がったり途中で塞がったりしていて、処置に時間がかかってしまうのです。マイクロスコープでは、目視では届かない内部まで見る事が出来るので、神経の道がどこに向かっているのか、塞がっているのはどの部分なのかを瞬時に把握することが可能となります。

2.3 根管治療の再処置はリスクが大きい

根管治療は、けして神経のある歯のみとは限りません。以前に根管治療をした方であっても再発や根尖病変が見られる場合には、再度根管治療を行う必要性があります。

しかし、再処置は1回目と比べリスクが大きく、より精密に治療を行わなければ、再発や根尖病変の悪化が起こり、意味がありません。また、神経を失った歯は割れやすいという最大の欠点があります。
特に根尖病変が見られる場合、歯が既に割れている事も多く、それに気付かずに処置を進めるケースも少なくありません。小さなヒビであっても歯にとっては大きな障害となります。精密な治療を行うには確かな情報が必要不可欠であり、それはマイクロスコープの存在が治療の成功率を高める理由でもあります。

マイクロスコープを使った根管治療が良いといわれる理由

マイクロスコープを使った施術

マイクロスコープの利点は、何といってもその精密さです。目視での限界を超えた精密な処置は、二次カリエス(処置した場所が再び虫歯になる事)や神経を失った歯に起こりやすい根尖病変の発生率を大幅に低下させるので、処置後のトラブルが起こりにくくなり、歯科医院に行く時間やお金、労力を削減できます。また、治療をスムーズに進める事が出来る為、治療期間の短縮も考えられます。

マイクロスコープだけで決めないで!根管治療を受ける歯科医院選びのコツ

ご紹介してきたように、マイクロスコープは根管治療においてたいへん重要な役割を持っていますが、あくまでも患部をよく見るための道具です。歯科医院を選ぶ際に、「マイクロスコープさえ使っているなら安心だな」とそれ以外のポイントを軽視して考えてしまうのは、あまりオススメできません。
では、マイクロスコープを使用しているということ以外で、根管治療を受ける際の‟腕のよい歯科医院選びのポイント”にはどんなものがあるでしょうか。

3.1 しっかりと精密検査をおこなっているか

根管治療は肉眼で見えない部分ですから、しっかりと精密な検査をおこなってくれる歯科医師に出会うことがポイントです。
マイクロスコープで根の中を見るだけではなく、口腔内の検査をしっかりおこない、歯周病・歯肉炎は無いかどうか、噛み合わせ・顎関節の状態に異常はないかも確認。また、レントゲンや口腔内の写真も確認し、精密検査を基に治療方針をたててくれる歯科医院は信頼できるといえます。

3.2 治療開始前に十分な説明をおこない同意を得ているか

基本的なことではありますが、治療前に充分な説明の時間を設け、納得いくまで質問に答えてくれるような歯科医院を選びましょう。
根管治療は先にもご紹介したように精密な検査が必要になりますし、治療期間も長くなることが多いものです。何も説明なく治療に入ったり、疑問点を訴えてもうまく言い包められたりするような歯科医院だと、長く通い続けることがストレスになりかねません。

3.3 ラバーダム防湿の使用を徹底しているか

「ラバーダム防湿」とは、治療する歯に唾液や細菌が侵入しないように保護するゴム状のマスクのことです。根管治療中に患部へ細菌が侵入してしまうと症状悪化につながる可能性もあります。ラバーダムを使用すると治療する歯だけが表面に出るため、唾液を効率的に遮断できる方法です。
日本の虫歯治療などでは、ラバーダムを使用しないで治療している歯科医院が多いのですが、根管治療に関してはラバーダム防湿をおこなった治療をしている歯科医院のほうが、安心して治療を受けることができるでしょう。

3.4 担当医師が根管治療の専門であるか

歯科医師の中にはさまざまな専門分野に特化し、専門医の称号を持っている人もいます。根管治療は「歯内療法」という、歯の内部の治療を専門とする分野に属しています。
歯科医院のホームページを開いて、医師のプロフィールを確認すると、所属学会やセミナー受講歴が掲載されている場合があります。その中に、歯内療法に関する学会やセミナー、研究会についての記載はありますでしょうか?
このように根管治療を専門にしている歯科医師や、積極的に学習をしている歯科医師であれば、多くの症例に携わっており経験も豊富です。安心して治療を受けることができるでしょう。

一般的な根管治療とマイクロスコープを使った根管治療 治療費の違いは?

歯のイラスト疑問
マイクロスコープは技術性の高い機械であることは確かですが、全ての歯科医院が導入し使用しているわけではありません。それだけ高価な物であるということです。

精密根管治療を受けるとなると当然その治療費にも違いがうまれます。自費での治療となる為、歯の部位や歯科医院によっても様々であり、10万円~20万円とかなりの差があります。ちょっと高いなと思うかもしれませんが、トラブルが起きてしまった場合にかかる費用のことを考えると、詰め物や被せ物、入れ歯やインプラントなどで総額20万円を超える可能性は充分にあります。

マイクロスコープを使ったほうがトラブルの発生率が低いということは、そのぶん後にかかるお金を減らせるということです。精密根管治療をお考えの方は、是非一度歯科医院へご相談下さい。


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